獣医師コラム:排便でわかるペットの健康
ペットの排便状態を毎回見ておくことは小さな変化に気づくことができ、病気の早期発見に繋がり、ペットの健康管理に適しています。便の状態は食べているフードの影響が一番大きいですが、いつもの便と比べて回数、量、硬さ、形、色などに異常がある場合、病気の可能性が考えられます。
■排便回数・量
排便回数は個体差があります。1日1回お散歩でしかしない犬もいれば、1日に3~4回する犬もいます。毎日の回数と比べ異常かで判断します。
回数が増える
・大腸性の下痢:細菌や寄生虫が原因で大腸に炎症が起こり下痢となる場合。
・食事の変化:フードを変えたことで消化がうまくいかない場合。
量が増える
・消化の悪いフード
・ダイエットフード:満腹感は得られるがカロリーは低く作られているので繊維質が多く便の量が多くなります。
回数・量が減る
・食欲が落ちている
・便秘:何日も排便しない、排便量が少ない、残便感がある場合。一過性の便秘より慢性化してしまった便秘は問題となります。
原因 狭窄や閉塞(腸内の異物、腫瘍、憩室、骨盤骨折など)
痛みによる排便困難(肛門の痛みや脊髄疾患など)
環境(トイレが汚れている、引っ越し、ストレスなど)
食事
特発性巨大結腸症(猫)
■硬さ・形
正常な便の硬さは手でつかんでも崩れず、シーツに汚れがほとんどつかないない状態です。いつもより少し柔らかい程度の軟便は、変更した食事が合わない場合や、水分の取り過ぎで起こります。
下痢の原因はたくさん考えられます。下痢は消化器系の異常以外にも、甲状腺、膵臓、肝臓、腎臓、腫瘍が原因で発現することもあります。
・急性の下痢:食物の影響(アレルギー、不適切な食事、細菌性食中毒)
寄生虫
感染症(ウイルス、細菌)
腸重積
毒物
薬の副作用
膵炎
副腎皮質機能低下症など
・慢性の下痢:炎症性腸疾患
腫瘍
膵外分泌不全
肝胆道系疾患
甲状腺機能亢進症
異物など
■色
赤色(血便):肛門や大腸からの出血(肛門嚢炎、大腸炎など)
黒色(タール便):胃や十二指腸からの出血
■その他
ゼリー状の付着物:大腸の炎症(粘液や粘膜)
異物:髪の毛、木くず、石などが便から出てくるときは、異物癖があります。日頃からペットが口にしないよう気を付けましょう。
便の変化は、異常を知らせるサインです。便のチェックは日頃簡単に行える健康管理なのです。便の処理の際、気にかけてチェックするようにしましょう。
便に異常が出て動物病院を受診する際は、検便用の便を持参してください。持参する便は診察当日のもので新鮮な便が望ましいです。小指の先程度の量があれば十分です。
便の状態は食事による影響が一番です、ペットには良質なフードを適正量与えましょう。