獣医師コラム:チョコレート中毒【ペットがチョコを食べてしまったら】
バレンタインの季節なので、今回はチョコレート中毒について解説したいと思います。
■ チョコレート中毒を起こさないために
チョコレート中毒はほとんどの方が認識しているので、中毒を起こす原因は盗食です。チョコレートの盗食をする動物は、猫より多くは犬です。猫は生理的に甘みを感じないです。犬は優れた臭覚を使いチョコレートを見つけ、また珍しい食べ物を素早く食べてしまうため盗食が起きてしまいます。
チョコレート中毒を起こさないために大事なことは、ペットが絶対に口にできない場所にしまって置くことです。食べるときは、こぼさない(特に小さなお子さんのいる家庭)、テーブルの上に置きっぱなしにしないこと。トイレに行っているすきに、食べてしまったということもあります。
犬は飼い主が想定していないような行動をとります。まさかここまでとどかないだろうといった場所やバックの中などからチョコレートを見つけ盗食します。特にお留守番時に起こることが多いので気を付けましょう。
■ チョコレート中毒の原因
チョコレート中毒の原因はチョコレートに含まれるメチルキサンチン(テオブロミン、カフェインなど)という物質の過剰摂取です。
■ 中毒量
軽度な異常は20㎎/㎏のテオブロミンの摂取により起こると言われています.
(3㎏の犬では約30gのミルクチョコレートを食べた場合。)
中毒兆候は100㎎/㎏のテオブロミンの摂取により起こると言われています。
(3㎏の犬では約150gのミルクチョコレートを食べた場合危険です。)
※中毒量はおよその量になり、チョコレートの感受性は個体によって様々です。
■ 中毒の症状
摂取後1~4時間で症状が出ます。
・落ち着きの消失、過活動
・多尿
・嘔吐、下痢
・多呼吸、頻脈、徐脈、不整脈
・高体温
・痙攣、死に至ることも
・二次性の膵炎
■ チョコレートを食べてしまったら
様子を見てはいけません。中毒になるものを食べてしまったときは、どのくらいの量をどれくらい前に食べてしまったかが重要です。チョコレートの種類によってテオブロミンの量は異なるため、チョコレートの種類、食べてしまったおおよその量を確認し、獣医師に確認しましょう。
動物病院で行う治療
・摂取後6時間以内であれば吐かせる処置を行い、更に吸収されることを防ぎます。(時間が経ってしまっている場合は、吐かせる処置は行いません。)
・吸着剤の投与
・痙攣している場合:痙攣を止める薬の投与
・点滴
チョコレート中毒の多くは飼い主の不注意によるもので、多くは盗食です。
また、万が一チョコレートを食べてしまった場合は、動物病院で診察してもらった方が安心です。電話や来院する際は、食べたチョコレートの種類(あればパッケージ)、食べた量、時間を伝えましょう。
チョコレート中毒は気を付ければ防げるものなので、ペットのいる家庭ではチョコレートの管理に気を付けましょう。