獣医師コラム:犬の外耳炎
トリミングで耳の汚れをよく指摘される、何度も外耳炎を繰り返すと言ったお悩みはありませんか?犬の外耳炎は単に耳だけの病気ではなく、アトピーやアレルギーが関連していることが多いです。外耳炎の原因をしっかり把握し、適切な治療を行う必要があります。今回は犬の外耳炎について詳しく解説いたします。
◎ 外耳炎の原因
複数の因子が組み合わさって外耳炎が発症していることが多いです。
主因:これだけで外耳炎を発症
・アレルギー
・寄生虫(耳ダニ)
・異物
・腫瘍
・その他(脂漏症、内分泌疾患、分泌腺の異常)
副因:主因や他の副因との組み合わせで発症
・細菌
・マラセチア
・不適切な耳掃除
増悪因子:外耳炎を悪化させる要因
・耳道の狭窄
・上皮移動障害
・耳垢線の変化
・中耳炎
素因:外耳炎の発生リスクを高める要因
・耳の形態的問題(垂れ耳、耳道が狭い)
・環境(高温多湿)
・閉鎖的病変
◎ 外耳炎の検査
・耳鏡による外耳道の観察
・耳垢の検査:細菌、マラセチアの増殖の確認。細菌の増殖が認められた場合、薬剤感受性試験。耳ダニの有無。
・血液検査:内分泌疾患、アレルギー検査。
・ビデオオトスコープによる検査、CT/MRI検査:重度の外耳炎や中耳炎が疑われる場合に行います。
◎ 外耳炎の治療
・外耳道の洗浄
・点耳薬:点耳薬の種類は液体、クリームなど材質の違い、持続期間の違い、抗炎症作用の強さの違い、抗菌薬の種類の違いなどがあります。)
・内服薬:ステロイド(腫れや炎症が重度の場合に内服します。)抗菌薬(細菌の増殖が認められた場合、感受性試験結果に基づき適切な抗菌薬を内服します。)抗真菌薬(マラセチアの増殖が重度の場合内服します。)
・外科手術:内科的に治療困難な場合は耳道切除などの手術を行います。
◎ 外耳炎の予防
主因となるアレルギーや内分泌疾患がある場合、基礎疾患の治療をしっかり行いましょう。また、動物病院で1~2か月に一度定期的に耳道をチェックしてもらいましょう。
外耳炎の治療費は洗浄と点耳薬の診察の場合3000円程度ですが、必要に応じて薬剤感受性試験や血液検査を行うこともあるので高くなることもあります。しかし、基礎疾患の治療を行わない場合には再発や慢性化してしまうため、基礎疾患が疑われる場合必要な検査です。外耳炎は重症化すると治療に時間がかかります。ペットの耳の汚れや臭いが気になったらできるだけ早く動物病院を受診し、完治するまでしっかり治療しましょう。