流涙症はトイプードルなど小型犬種でよく起こります。 涙で毛が赤褐色に染まり涙やけを起こします。 特に毛が白い犬では色が目立ち、世話する飼い主が多いように感じます。 流涙症は常にある原因で、原因によって治療法は変わってきます。

どう毛に色がつくのか？

涙の中に含まれるポルルフィリンが毛を赤褐色に染めてしまいます。

■原因

• まつ毛の異常（涙の分泌異常）

  ：まつ毛が目に当たることで刺激となり、分泌される涙の量が増えて涙が流れ出します。

睫毛再生：まつ毛がマイボーム腺から生えているもの。

睫毛乱生：まつ毛が生えている場所は普通だが、まつ毛が目に入ってくる角膜に関しているもの。

異所性睫毛：まぶたの裏（結膜）からまつ毛が生えて、角膜に関しているもの。

• 涙の排出異常

  ： 通常、涙は瞬きをすることで涙点⇒涙小管⇒涙袋⇒鼻管を通って鼻に排出されます。この排出経路の場所に異常があると涙が排出されず、目から涙が流れ出ます。

涙点の異常：涙点閉鎖症、小涙点症。

涙嚢炎：涙嚢の細菌感染で終わります。

鼻涙管閉塞：生まれつき鼻涙管が細くなることが原因です。

• 涙を目に保持する機能の異常

  ：目は脂質・水（涙）・ムチンの３層からなる涙膜で検討されています。この涙膜が目の表面に保たれることで涙が流れ出ます。

涙丘の毛が角膜へ接触：涙丘は人では目に頭にあるピンク色の部分です。 涙丘の毛が目に接触することで、毛をつたって涙が流れます。

マイボーム腺機能不全：マイボーム腺は涙膜の脂質を分泌します。

下眼瞼内側内反：下まぶたの目頭側が目に入って消えた状態で、内反していることで涙点から涙が排出されにくく、保持できる涙の量が気づくため涙が流れます。

• 食べ物の影響？

  ：フードの成分が流涙症を起こす原因であるとは明らかになっていません。 ただし、フードの変更により流涙症が改善したケースではフードによるアレルギーやマイボーム腺の脂質成分が変化した可能性があるのではないかと考えられています。

■治療法

・まつ毛の異常

睫毛再生・睫毛乱生：角膜にあたるまつ毛を除きます。

異性睫毛：全身麻酔で毛根ごと切除します。

・涙の排出異常

涙点の異常：涙点を正常サイズになるよう全身麻酔で処置を行います。

涙嚢炎：涙嚢の洗浄、抗菌薬、抗炎症薬を点眼します。

鼻涙管閉塞：鼻涙管洗浄を行います。通常は全身麻酔で行います。

・涙を目に保持する機能の異常

涙丘の毛が角膜への接触：毛を抜きます。

マイボーム腺機能不全：マイボーム腺から脂質の分泌を改善させるため、蒸しタオルで眼瞼を温めます。マイボーム腺が細菌感染を起こしている場合などは、抗生剤を内服します。

下眼瞼内側内反：内反によって角膜を克服するなど、涙やけ以外の重篤な症状がある場合には、手術で内反を矯正します。

流涙症の原因は単独で起こっているだけでなく、複数の原因が関与していることもあります。 原因はしっかりと目の検査を行う必要があります。

しっかりと治療したいと考えている場合は、眼科を専門にしている獣医師に診てもらって良いでしょう。またすぐに完治となるケースは稀ですが、流涙症を改善させるためには繰り返し処置が必要となることもあります。

流涙症による皮膚炎を起こさないようにすることも重要です。目に使用できる洗浄液で皮膚を安全にしましょう。