秋の防災見直し
ペットと備える持ち出しリスト(10月版)
「防災袋は用意したけど、犬の分はフードだけ」「避難所にペットを連れて行けるのか調べていない」「同行避難という言葉は聞くけれど、意味がよくわからない」——ペットの防災は、必要性は分かっていても後回しになりがちです。
この記事では、環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」にもとづいて、何を、どれだけ、どういう順番で備えればいいのかを具体的に整理します。買い足す前に今日できることが3つあるので、そこから始めましょう。
防災グッズを買い足す前に、今日ここで確認できることが3つあります。①マイクロチップの登録情報は最新か ②避難先はペットを受け入れるか ③装具は今の体に合っているか。そのうえで、フードと水は環境省ガイドラインの推奨どおり最低5日分、できれば7日分以上。同行避難と同伴避難は別の意味なので、自治体の運用を先に調べてください。
結論:買う前に、今日できることが3つある
防災の話になると、つい「何を買い足すか」から考えてしまいます。でも実際に避難した方の話を聞くと、困ったのは物ではなく情報と、体に合っていない道具だったというケースが少なくありません。
① マイクロチップの登録情報は最新か
引っ越し、電話番号の変更、飼い主の変更。どれかがあったなら、登録情報が古いままかもしれません。チップが入っていても、たどり着く先の情報が古ければ意味が薄くなります。環境省の指定登録機関のサイトで確認できます。5分です。
② 避難先はペットを受け入れるか
お住まいの自治体のサイトで「ペット 避難所」と検索してみてください。受け入れの可否、ケージが必要か、区画が分けられるか。自治体によって運用はかなり違います。当日に調べるのはまず無理なので、今のうちに。
③ 装具は今の体に合っているか
これが見落とされがちです。避難時、犬は普段と違う音と人の流れのなかを歩きます。パニックで後ずさりしたとき、ゆるいハーネスは抜けます。首まわりと胸囲を測って、指2本ルールで確認してください。3分です。
過去の災害では、揺れや音に驚いて逃走し、そのまま行方がわからなくなるケースが多く報告されています。装具の適合と迷子札・鑑札・マイクロチップは、備蓄品よりも先に整えておきたい項目です。
【データ】約680万頭が、一斉に避難先を必要とする
ペットフード協会の2024年調査によると、日本で飼われている犬は約679万6千頭。猫は約915万5千頭です。
縦軸は6,000〜9,000千頭。頭数は減少傾向ですが、それでも約680万頭。災害が起きれば、この規模の犬が一斉に避難先を必要とします。自治体の受け入れ方針を先に調べておく理由はここにあります。
出典:一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」
頭数そのものは2013年の871万頭から減少傾向にあります。ただ、大事なのは減ったかどうかではなく、それでも約680万頭いるということ。大規模な災害が起きれば、この規模の犬が同時に避難先を必要とします。
もうひとつ、忘れてはいけない数字があります。同じ調査では、犬の89.3%が室内中心で暮らしています。つまり、家族の一員として家のなかにいる犬がほとんど。「置いていく」という選択肢が現実的でないご家庭が大多数だ、ということです。だからこそ、同行避難を前提にした準備が必要になります。
なぜ秋に見直すのか
防災の見直しというと9月1日を思い浮かべる方が多いと思います。ただ、実際には10月のほうが理にかなっている面があります。
理由1:台風シーズンの記憶が新しいうちに
夏から秋にかけての大雨や強風で、ヒヤッとした場面があったのではないでしょうか。「あのとき何が足りなかったか」を覚えているうちに手を動かすほうが、リストが具体的になります。
理由2:冬の停電に備える前だから
冬は積雪や凍結による停電のリスクが上がる季節です。暖房が止まったとき、短毛種やシニア、子犬の保温をどうするか。毛布や湯たんぽの位置を秋のうちに決めておくと、慌てずに済みます。
理由3:ペットの体が変わったタイミングだから
夏のあいだに体重は動いています。換毛も始まっている。つまり装具のサイズを確認するのに、いちばん意味がある時期なのです。防災の見直しとハーネスの測り直しを、同じ日にやってしまうのが効率的ですね。
環境省が平成30年2月に公表した「人とペットの災害対策ガイドライン」は、飼い主の責任による同行避難を基本方針としています。平常時からの備えとして、同行避難を前提とした準備、ペット用の備蓄、しつけと健康管理、迷子対策(マイクロチップ等による所有明示)が挙げられています。備蓄については、ペット用品は人用より支援が届きにくい傾向があることから、最低5日分、できれば7日分以上が推奨されています。
平成28年4月の熊本地震では、多くの被災者がペットとの同行避難を実行しました。一方で、避難所での受け入れ、ペットの一時預かり、広域な支援体制や受援のあり方について、数多くの課題が指摘されています。「連れて逃げられた」と「避難所で一緒に過ごせた」は別の話だということが、このとき広く認識されました。
ペットの持ち出しリスト(環境省の推奨に沿って)
人用の防災袋とは別に、ペット用を1つ用意してください。混ぜると、どちらも取り出しにくくなります。
| 優先度 | 品目 | 量の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 最優先 | フード | 5〜7日分 | 普段と同じもの。環境が変わると食べない子がいます |
| 最優先 | 水 | 5〜7日分 | 人用と分けて確保。器も一緒に |
| 最優先 | 常備薬・療法食 | 7日分+処方メモ | 病院名と連絡先も紙で。スマホが使えない前提で |
| 最優先 | ハーネス・リード・首輪(鑑札・迷子札) | 予備1セット | 普段使いとは別に袋へ。サイズが合っているか要確認 |
| 高 | キャリー/スリング/折りたたみケージ | 1つ | 避難所ではケージ内待機が求められる場合があります |
| 高 | ペットシーツ・排泄物用袋・新聞紙 | 多めに | トイレ環境は最初に困るところです |
| 高 | 写真(飼い主と一緒に写ったもの) | 2〜3枚 | 迷子時の所有証明に。紙で持つこと |
| 中 | 折りたたみ食器・タオル・ブラシ | 各1 | タオルは保温にも目隠しにも使えます |
| 中 | ワクチン接種証明のコピー | 1部 | 受け入れ時に提示を求められることがあります |
| 中 | お気に入りのおもちゃ・普段使いの毛布 | 1つ | 匂いのついたものは落ち着きに役立ちます |
名前/犬種・猫種/年齢/性別/体重/マイクロチップ番号/かかりつけ病院と連絡先/持病と常備薬/苦手なもの/飼い主連絡先。この1枚をラミネートして袋に入れておくと、預ける必要が出たときに驚くほど役立ちます。写真も貼っておいてください。家族全員が中身を把握できることにも意味があります。
【データ】避難時、3頭に1頭は音に過敏という前提で
避難の移動で最も怖いのは、犬が驚いて走り出すことです。そして「驚きやすいかどうか」は、思っているより一般的な性質です。
サイレン、防災無線、建物の軋み。避難の移動中は、犬にとって未知の音が連続します。3頭に1頭は音に過敏という前提で装具を選んでください。
出典:Salonen M et al., Scientific Reports (2020) n=13,700
2020年に Scientific Reports 誌に掲載されたフィンランドの研究(Salonenら)では、家庭で暮らす犬13,700頭を対象に不安に関わる性質が調べられました。最も多かったのが騒音への過敏で32%、次いで花火への恐怖が26%です。
避難時に犬が耳にするのは、サイレン、防災無線、ヘリコプター、建物の軋み、人の叫び声。日常では聞かない音が連続します。3頭に1頭は過敏という前提で装具を選んでおけば、想定が甘くなりません。
この研究では雷への恐怖が加齢とともに増える傾向も示されました。シニア犬のいるご家庭は、若い頃の様子を基準にしないほうが安全です。
同行避難と同伴避難。違いを知っておく
言葉が似ていて混同されがちですが、意味はまったく違います。ここを知らないまま当日を迎えると、避難所の入口で立ち尽くすことになります。
つまり、同行避難ができても、避難所ではペットが別区画になる可能性がある、ということです。その場合に備えて、ケージに入って待てる練習を平常時からしておくと負担が減ります。当日いきなりケージに入れられると、それ自体がストレスになりますから。
在宅避難という選択肢も
建物の安全が確認できるなら、自宅にとどまる在宅避難のほうがペットのストレスは小さくて済みます。その場合に必要なのは、やはり備蓄。水・フード・トイレ用品を7日分持っていれば、選択肢が増えます。備蓄は「避難所に行くため」だけのものではありません。
避難のとき、どうやって連れて出るか
ここが、道具の話になります。避難の移動は、普段の散歩とはまったく違う環境です。
抜けにくさが、いちばん大事になる場面
サイレン、人の声、ガラスの破片、いつもと違う匂い。犬はパニックで後ずさりします。前方向ではなく後ろ方向に力がかかったとき、ゆるいハーネスは前脚側から抜ける。避難中の逸走は、そのまま行方不明につながりかねません。
胴を面で囲む構造で、複数点で体に合わせ込めるものを選んでください。そして、避難用の予備を1セット持ち出し袋に入れておく。普段使いを持ち出す余裕がない場面もありますから。
抱えられるサイズなら、スリングという選択肢
瓦礫やガラス片のある路面を歩かせるのは現実的ではありません。小型犬であれば、肩からかけるスリングに入れて両手を空ける形が安全です。階段の上り下りでも手すりが使えますね。
ただし、スリングはサイズ選びで失敗しやすい用品でもあります。体重だけでなく、体長と抱えたときの落ち着き方で決めてください。飛び出し防止の安全フックがついているタイプを選ぶことも忘れずに。
「だいたい合っている」では、いちばん大事な場面で外れます。ハーネスもスリングも、実測値から適合サイズを出せます。ブランドごとの診断はハブページからどうぞ。所要30秒。
玄関に置かれたペット用持ち出し袋の中身を広げたフラットレイ。フード・水・折りたたみ食器・リード・ハーネス・タオル・薬・写真入りの連絡カードが見えるように。
よくある不安に、先に答えます
| 不安 | 実際のところ |
|---|---|
| サイズが合わなかったら? | ハーネスは4点調整で2〜4cm程度のずれを吸収できます。それ以上ならサイズ帯の変更に。ご相談はLINEまたはメールで承ります。 |
| 届くまで何日? | 在庫のあるサイズ・カラーは通常出荷です。出荷の目安は各商品ページの記載をご確認ください。備えは「必要になる前」に届いてこそ意味があります。 |
| 洗えますか? | ハーネスは手洗いで洗えます。スリングは製品ごとに洗濯表示が異なるので、商品ページをご確認ください。 |
| 返品・交換は? | 状況によって対応が変わります。まずLINEまたはメールでご相談ください。実測値をお送りいただければサイズ選びをお手伝いします。 |
| 送料は? | 全国送料無料でお届けしています。 |
代官山のショールーム(渋谷区猿楽町12-10 / 11:00-17:00 / 月曜定休)では、ハーネスもスリングも実際に試していただけます。避難を想定した「抱えたまま階段を上る」動きまで確認できるので、数値だけでは決めきれない方はぜひ。ご予約はLINEでどうぞ。
よくある質問
Q. ペットの防災で、持ち出し袋より先にやることは何ですか?
3つあります。マイクロチップの登録情報が最新かの確認、避難先がペットを受け入れるかの確認、そして装具が今の体に合っているかの確認です。この3つは物を買わなくても今日できます。
Q. ペットの持ち出し品は何日分用意すればよいですか?
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」では、最低5日分、できれば7日分以上が推奨されています。ペット用品は人用より支援が届きにくい傾向があるためです。
Q. 同行避難と同伴避難は何が違いますか?
同行避難は飼い主がペットを連れて安全な場所まで一緒に避難すること、同伴避難は避難所で同じ空間に一緒にいられることを指します。環境省ガイドラインが基本方針としているのは同行避難です。同行避難ができても避難所でペットが別区画になる場合があるため、自治体ごとの運用を事前に確認してください。
Q. 避難のとき、犬はハーネスと首輪のどちらがよいですか?
両方です。鑑札と迷子札は首輪に装着し、リードは胴を面で支えるハーネスにつなぐ形が現実的です。避難時はパニックで後ずさりしやすいため、抜けにくい構造であることが特に重要になります。
Q. 避難時に犬がパニックになるのが心配です
珍しいことではありません。13,700頭を対象にした2020年の調査では、騒音に過敏な犬が32%にのぼりました。驚くこと自体は止められないので、驚いても外れない装具と、ケージで待てる練習を平常時から準備しておいてください。
抜けにくいハーネスと、
両手が空くスリング
避難の移動で必要になるのは、この2つに集約されます。パニックで後ずさりしても外れにくい構造と、瓦礫やガラス片のある路面を歩かせずに済む選択肢。どちらも平常時から慣らしておくことが前提です。
引っ越し・電話番号変更があったなら要更新。5分で終わります
同行避難と同伴避難のどちらか、ケージが必要かまで
指2本ルールで確認。予備1セットを防災袋へ
環境省ガイドラインの推奨。ローリングストックで期限切れを防ぐ
写真・チップ番号・持病・かかりつけ病院・飼い主連絡先
当日いきなりは無理。平常時から少しずつ
備えは、合っていて初めて備えになる
買い足すより先に、今あるものが体に合っているかを確かめてください。
実測値をお送りいただければ、スタッフがサイズ選びをお手伝いします。ご相談はLINEまたはメールで。
LINE: lin.ee/WbsluzV | メール: info@alices-dogcat.com