獣医師コラム:梅雨に気を付けたい犬の病気
梅雨になると暑く、じめじめした日が続きます。今回は、高温多湿の環境で起こりやすい病気について解説いたします。
高多湿で起こりやすい病気
・外耳炎
・皮膚病
・熱中症
外耳炎
外耳炎の原因は、耳ダニ・細菌・マラセチア・アレルギーなどがあります。高温多湿下では細菌やマラセチアが繁殖しやすいので、感染性の外耳炎が増えます。
外耳炎になりやすい犬
垂れ耳の犬、耳道に毛が生えている犬、アレルギー・アトピーの犬
外耳炎の症状
耳を気にすることが増えます。頭を振ることや、耳や首のあたりを掻きます。
細菌感染では黄色い耳垢が増え、マラセチア感染では独特のにおいがする茶色い耳垢が増えます。
外耳炎の治療
耳の洗浄を行い、点耳薬を使用します。重症状が重度な場合内服薬も使用することがあります。
外耳炎を予防するには
定期的に耳をチェックし汚れ、においに異常はないは確認します。耳掃除は定期的に行い清潔に保ちます。自宅のお手入れは耳洗浄液とコットンンで優しく汚れを拭き取ります。耳道内に耳毛が多い場合はトリミングでカットや抜いてもらいましょう。
皮膚病
皮膚病の原因は寄生虫、細菌、カビ、マラセチア、アレルギー・アトピー、自己免疫性疾患など様々です。外耳炎同様に高温多湿下では細菌やマラセチアが繁殖しやすいので、感染性の皮膚病が増えます。
皮膚病になりやすい犬
アレルギーやアトピーの犬、若齢や高齢の犬、短頭種(顔にしわがある犬)、グルーミングをきちんとしていない犬
皮膚病の症状
からだを痒がる、皮膚が赤くなる、ふけが増える、皮膚にブツブツができる、マラセチア感染では独特のにおいがします。
皮膚病の治療
抗生剤や抗真菌薬の外用や内服薬を使用します。抗菌作用のあるシャンプーや抗真菌薬のシャンプーで定期的に洗浄を行います。
皮膚病を予防するには
定期的にブラッシング、シャンプーなどのグルーミングを行い、皮膚を清潔に保ちます。
熱中症
熱中症は高温多湿の環境で起こる命にかかわる病気です。熱中症は真夏のイメージがありますが、温度が同じでも湿度によって危険度が変化します。梅雨の時期は多湿になるのでこの時期から熱中症は注意しなくてはなりません。
熱中症になりやすい犬
短頭種、肥満の犬、呼吸器疾患や心疾患のある犬
熱中症の症状
パンティング、舌が真っ赤・紫色になる、高体温、下痢や嘔吐、虚脱などの症状がみられます。
熱中症の治療
動物病院での治療が必要です。体を冷やしながら道物病院へ移動し適切な治療を受けましょう。
熱中症を予防するには
室内では24時間エアコンをつけ適切な温度・湿度(温度26度、湿度50%)になるよう管理しましょう。昼間の散歩は控えましょう。熱中症になりやすい犬種は首に冷却用の保冷剤をまいたりするのも良いでしょう。車内に置いていくことは絶対にしないでください。日陰でも、窓を開けていてもエンジンが切れた車内での放置は熱中症の危険性が高いです。
梅雨の季節は外耳炎、皮膚病などの感染による病気になりやすく、暑さに弱い犬は熱中症の危険性が高まる時期です。外耳炎や皮膚病はトリミングを定期的に行い清潔に保つこと、異常があった場合悪化させないよう診察を受け治療していくことが大切です。熱中症は命にかかわるので、熱中症を起こさせないことが大切です。