獣医師コラム:犬猫の避妊手術と去勢手術
避妊手術を行うメリット
・望まない繁殖を防ぎます。
・卵巣、子宮疾患を予防します。
・乳腺腫瘍の発生率を低下させます。
乳腺腫瘍の発生率は初回発情前に避妊手術を行った場合は0.05%、2回目前に行った場合は8%、2回目以降に行った場合は26%と年齢の増加とともに発生率も増加します。
去勢手術を行うメリット
・望まない繁殖を防ぎます。
・男性ホルモンが関連する疾患、前立腺肥大、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアの予防効果があります。
・問題行動、スプレーや攻撃性などを抑えます。
避妊手術、去勢手術のデメリット
・避妊、去勢手術の後は必要カロリーが減少します。
そのため手術前と同じカロリーを与え続けると肥満になりやすいです。
しかし肥満はは食事管理を適切に行うことで防ぐことができます。
・全身麻酔のリスク。
どんなに健康な子でも麻酔リスクは0ではありません。
安全に全身麻酔を行うために術全検査を行います。
・術後、傷口の感染リスク。
処方された抗生剤はしっかりと飲ませましょう。
・雌犬では避妊手術後の尿失禁が認められることがまれにあります。
避妊手術と去勢手術の時期
手術は性成熟する前に行うことが理想です。
特に乳腺腫瘍は年齢とともに発生率が増加するため発情前に行うことで予防効果があります。
性成熟は個体差がありますが、犬で6~12ヶ月、猫で6~9ヶ月です。
3ヶ月齢以前の麻酔は体の機能がしっかりできていないためリスクがあります。
そのため手術時期は3~6ヶ月齢に行うことが推奨されています。
一般的には6ヶ月前後で行うことが多いです。
早期の避妊、去勢手術のリスクは?
早すぎる手術は発育不良、尿失禁、排尿障害、免疫機能の低下が信じられていましたが、研究では、早期の手術を行っても骨格成長の影響はなく、排尿障害、免疫機能の低下も否定されてきています。
しかし大型犬や超大型犬は早期の手術で関節疾患や腫瘍が増えるとの報告もあります。
動物病院ではペットを飼い始めた最初の段階で避妊、去勢手術の説明がされます。
それは避妊、去勢手術には問題行動の抑制や、病気の予防などたくさんのメリットがあるからです。
しかし手術にはデメリットがあります。
メリット、デメリットをきちんと確認し、納得した上で手術を受けるようにしましょう。