獣医師コラム:クリスマス・お正月 ~これからの季節に気をつけたいこと~
早いもので今年も、もう師走です。
ペットを飼育されているご家庭でクリスマス・お正月のイベントシーズンに気を付けたいことをご紹介いたします。
◎ 骨付きチキン
クリスマスに骨付きのチキンを食べるご家庭は多いと思います。骨付きチキンをワンちゃんに与えることは危険があります。
加熱された鳥の骨は砕けると縦に尖った形になります。これを食べてしまうと胃や腸の粘膜を傷つけ穿孔してしまう可能性があります。また、骨を丸々1本丸呑みしてしまったという犬もいます。その場合、腸閉塞になってしまうので内視鏡や開腹手術が必要になります。食いしん坊の犬はテーブルのチキンを飼い主が目を離した隙に・・なんてこともありますのでお気を付けください。
◎ ポインセチア
クリスマスに飾るポインセチアには犬、猫が中毒になる有毒成分が含まれています。
有毒成分は葉・茎から出る樹液に含まれます。中毒症状は嘔吐、下痢、皮膚炎があります。命を落とす危険性もあります。うちの子は観葉植物を食べないから大丈夫という考えではなく、もしものことを考えワンちゃん、ネコちゃんのいる場所には置かないことが一番安心です。
◎ チョコレート
犬のチョコレート中毒は有名な話です。チョコレートに含まれるテオブロミンという成分を摂取することにより嘔吐、下痢、興奮、痙攣といった症状を起こし、摂取量によっては命を落とすこともあります。クリスマスシーズンはお菓子やケーキなどチョコレートが出てくることも多いと思います。チョコレート中毒になる原因の多くは盗食です。犬が食べられない場所にきちんとしまいましょう。
◎ カニ、タコ
生のカニ、タコ、イカにはチアミナーゼと言う酵素が含まれていています。この酵素はビタミンB1を壊してしまいます。犬、猫が生のカニやイカを食べるとビタミンB1欠乏症のなり、ふらつき、麻痺、嘔吐などの症状が出ます。飼い主が寿司を与えてしまいその後、ふらつきの症状が出た子もいます。気を付けましょう。
またカニの甲羅やハサミは消化できないので与えないでください。
◎ 普段食べなれていない食べ物
クリスマスやお正月は犬用のケーキやごちそうを用意したり、ついつい人が食べているものを与えてしまったり・・・。普段食べなれていない物や食べすぎによる消化不慮で嘔吐、下痢などの病気になりやい時期でもあります。高脂肪食や無分別な食事により膵炎を発症するリスクがあります。与えすぎには気を付けましょう。
◎ 寒さ乾燥
急な気温の変化により動物は体調を崩しやすくなります。空気の乾燥は呼吸器系の疾患のある子や乾燥肌による痒みがある子には大敵です。エアコンや加湿器で適正な温湿度になるよう管理しましょう。また、ヒーターなどの暖房機器は高温でなくても長時間同じ体勢でいる場合、低温やけどを起こすこともあります。使用時は地肌が直接暖房機器に触れないよう注意しましょう。
◎ 最後に・・・
年末年始になるとお休みになる動物病院もあります。心臓薬や腎臓薬などいつも飲んでいる薬は休み明けまで足りるか確認しましょう。
年末は卸業者さんもお休みになるので、療法食などの注文は動物病院に早めにしておくと安心です。
かかりつけのお休みの期間や帰省先での万が一に備え、年末年始も開いている動物病院を調べておくと安心です。