獣医師コラム:ペットに危険な夏の食べ物

by Alice's Dog & Cat獣医師

夏の野菜や果物には、トウモロコシのように与え方に気を付けるもの、ブドウのように与えてはいけないものがあります。今回はペットに危険な夏の食べ物について解説いたします。

与えてもいいが与え方に気を付ける食べ物

・トウモロコシ

・さくらんぼ

・桃

 

与えてはいけない食べ物

・ぶどう、干しブドウ

・いちじく

 

 

トウモロコシの危険性

・アレルギー

ペットによってはアレルギーを起こすことがあります。皮膚のかゆみ、嘔吐、下痢などの症状がでます。初めて与えるときは少量から様子を見て与えましょう。

・芯の誤食

芯は固いため丸呑みしてしまう可能性があります。芯は窒息の危険性、腸閉塞を起こす危険性があります。トウモロコシは必ず粒を芯から取って与えましょう。

 

さくらんぼの危険性

・アレルギー

ペットによってはアレルギーを起こすことがあります。皮膚のかゆみ、嘔吐、下痢などの症状がでます。初めて与えるときは少量から様子を見て与えましょう。

・種に含まれる成分による中毒

さくらんぼの実はペットに与えることができますが、種は与えてはいけません。種に含まれるアミグダリンはペットの体内で消化されるとシアン化水素となり中毒を起こします。症状は嘔吐やけいれん、ショックなどを引き起こします。

 

桃の危険性

・アレルギー

ペットによってはアレルギーを起こすことがあります。皮膚のかゆみ、嘔吐、下痢などの症状がでます。初めて与えるときは少量から様子を見て与えましょう。

・種や皮に含まれる成分による中毒

桃の実はペットに与えることができますが、種と皮は与えてはいけません。種や皮に含まれるアミグダリンはペットの体内で消化されるとシアン化水素となり中毒を起こします。症状は嘔吐やけいれん、ショックなどを引き起こします。

 

ぶどう、干しブドウの危険性

・ぶどう中毒

ぶどうや干しブドウは中毒を起こすのでペットに与えてはいけません。中毒を起こす成分は特定されていません。特異体質が原因ではないかと考えられています。

中毒量:どんな量でも中毒を起こす危険性があります。

症状:急性腎障害を起こします。24時間以内に嘔吐を引き起こし、下痢、食欲不振、尿量の減少、虚脱などの症状がみられます。

治療:催吐処置、食べてしまったぶどうを吐かせます。急性腎障害に対する治療、静脈点滴を行います。

摂取した量が少量でも亡くなることがあります。ぶどうを食べてしまったらすぐに動物病院を受診しましょう。

 

いちじくの危険性

・中毒

いちじくはペットに中毒になる成分が含まれているため与えてはいけません。

フィナシン:この成分はタンパク分解酵素であるためペットの口の粘膜を荒らし、よだれが大量に出ることや、下痢や嘔吐を引き起こします。

ソラレン:下痢や嘔吐を引き起こします。

いちじくを食べてしまった場合、動物病院を受診することをお勧めします。

 

 

夏の野菜や果物は美味しく、与えるとペットが喜ぶものがたくさんあります。ぶどうやいちじくは与えると命の危険性があるので与えてはいけません。種に中毒成分が含まれる果物や腸閉塞を起こすトウモロコシの芯は必ず取り除いて与えましょう。万が一ペットが危険な食べ物を誤食してしまった場合、症状の発現は個体差があります。様子を見ることは危険です。すぐに動物病院へ連絡し、いつ、どのくらいの量を食べたか伝え、適切な処置を受けましょう。