獣医師コラム:お散歩で気を付けたい寄生虫、ノミ・マダニ・フィラリア・お腹の虫予防!
これからの季節暖かくなりノミやマダニが活発になり、お散歩でワンちゃんに寄生する可能性が高くなります。ノミやダニの寄生は皮膚炎を起こす以外に、お腹の虫や細菌感染症、ウイルス感染症を媒介するためしっかり予防することが重要です。
今回はノミやマダニ・フィラリア・お腹の虫などの寄生虫について詳しく解説いたします。
◎ノミ
ノミは一年中生息していますが春から秋にかけて発生しやすいです。ノミは犬猫に寄生している成虫のほか、目に見えない卵や幼虫、蛹が環境中に生息しています。ノミは動物だけでなく人も刺し皮膚炎を起こします。
ノミが引き起こす病気
ノミアレルギー性皮膚炎:ノミが吸血する時に入る唾液がアレルゲンとなり強いかゆみを伴う皮膚炎を起こします。
猫ひっかき病(バルトネラ症):人が感染猫に人が引っかかれたり噛まれることでリンパ節が腫れたりします。
瓜実条虫症(サナダ虫):条虫の幼虫が寄生しているノミの成虫を、グルーミングなどで犬や猫が飲み込んでしまうことで感染します。
人でもノミを潰した手をなめるなどして感染することがあります。
*病気を防ぐにはノミに刺されないように予防することです。
◎マダニ
マダニは山林、草むらなどに生息しています。マダニのシーズンは春と秋に多く発生するとされています。マダニには人や動物にSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を起こすウイルス感染症を媒介します。
マダニが引き起こす病気
貧血、皮膚炎:小さな動物に大量寄生した場合、貧血になる危険性があります。
犬のバベシア症:マダニによって赤血球内寄生原虫が媒介され、感染すると溶血性貧血、血小板減少症、発熱などが起こります。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群):人では発熱、消化器症状を主張とし血小板減少、白血球減少を認めます。死亡例もある恐ろしい感染症です。
ライム病:スピロヘーター(細菌)を保菌したダニに刺されることで感染します。人にも動物にも感染します。
人では皮膚症状を伴うインフルエンザのような症状から始まり慢性的に進行します。
日本紅斑熱:リケッチアと言いう病原体を保菌するダニに刺されることで感染します。発熱や発疹、刺し口が主要な徴候です。
*病気を防ぐにはダニに刺されないよう動物には予防薬を使用し、人はマダニの生息地に入る場合は肌を露出しないよう長袖、長ズボン、靴を履きましょう。
◎フィラリア
犬はフィラリアの幼虫を吸血した蚊に刺されることでフィラリアに感染します。感染したフィラリアは犬の体内で幼虫から成虫に成長し、心臓から肺動脈に寄生し様々な障害を起こします。猫にも寄生することがあります。
*薬をきちんと投与すれば予防できます。重要なのは蚊が見られなくなってから1か月後も投与することです。フィラリア薬は飲んでいれば蚊に刺されない、刺されてもフィラリアが体内に入らないわけではありません。フィラリア薬は、犬が蚊に刺され体内にフィラリアが入り成長したものを駆虫するお薬です。
◎お腹の寄生虫
お腹の虫(消化管内寄生虫)は子犬の頃に感染していることが多いです。虫卵は目に見えなく糞便中に排出されるためお散歩や犬の集まる場所で感染する可能性もあります。
最近ではノミ、マダニ、フィラリア、お腹の虫を1個のお薬で予防できてしまう商品もあります。どの寄生虫も感染する可能性があるのできちんと予防することが重要です。
また、ノミやマダニ、虫卵を室内に持ち込まないよう、お散歩から帰ったらワンちゃんの体をチェックし、足裏の汚れはしっかり除菌しましょう。